自転車がパンクしたので、朝いちばんで修理に出すことにした。
歩いて15分ほどのところにあるその自転車屋は、こじんまりとしていて、どこにでもあるような普通の店。
店に入ると、30代前半くらいの眼鏡をかけた、兄ちゃんが出てきた。
「パンクしたので修理をしてもらいたいのですが」
というと、タイヤを触るでもなく、
「あー、これはいかんね。タイヤ変えないとだめだわ。」
と、即答。
ちゃんと見ろよ。
と一瞬思ったが、あまりにも早い解答に「あ、じゃあ交換お願いします」と言ってしまった。
3,000円かかることと、30分くらい時間が欲しいと言われたので、暇つぶしに本屋へ行くことに。
読みたかった本を買い、自転車屋へ戻ると、きれいにタイヤが交換されていた。
お礼を言い、3,000円を支払おうとすると
「ついでにブレーキとチェーンも調整しといたから!ブレーキはちょっと固くなってるから気を付けてね。」
実際に調整された自転車に乗ってみると、見違えるほど乗り心地がいい。
少しペダルを踏んだだけで、ぐんぐん進むし、ブレーキの調子も以前と比較にならない。
ちょっとしたことが、相手の期待をいい意味で裏切ることもあるんだなと。
そんなこと考えました。
おわり。