ある一点において父を強烈に尊敬している話
本題には関係ないが、しれっとブログ再開。
また三日坊主で終わるんだろうけど、それはそれでいいと思う。
さて、僕はある一点において父を強烈に尊敬している。
父親と書いたが元父親という書き方の方が正しく、今は母と離婚してからもうかれこれ4年くらい会っていない。
そしておそらく今後も会うことはないだろう。
そんな父と過ごしてきな中で、一番印象に残った出来事と言葉についてお話したい。
父は大工だった。
父の父、つまり祖父が建設会社を立ち上げたこともあって、流れるように大工になったと記憶している。
僕は昔から野球ができて大工である父のことが好きだった。
作業着に身を包んで、仕事に行く姿やがっちりとした体つきで木を運んだり、家を建てたりする姿がカッコ良く輝いて見えた。
しかし、バブルがはじけたくらいから会社の業績は悪くなり、会社はあっという間になくなってしまった。
当時僕自身がまだ小学生だったこともあり、会社がつぶれた話を直接聞くことはなかったが、事務所があった場所に別の会社の建物が建つ様子を見ながらなんとなくそれを悟ったのをよく記憶している。
父はというと、その後別の建設会社に勤めていたが、うまくいかなかったらしく、大工を辞めてしまった。
辞めてからは水道局?的なところで勤めているとは言っていたが、本当のところは良く分からない。
父が大工を辞めて、僕が大学に進学したころだったと思う。
父は急変した。
いや、急変したと思ったのはこちら側の受け取り方なので、本性を現しただけなのかもしれない。
アルバイトにもやっと慣れて、少しだけ貯金ができたかなと思っている僕の元に父から突然電話がかかってきた。
内容は、お金を貸してほしいと。
理由を聞くと、妹が中学に進学する際の制服やバッグなどもろもろを買うお金がないとのこと。
最近転職をしたとかの話を聴いていたので、かなり経済状況が悪化したのだろうと私は解釈し、可愛い妹のために10万円を父の口座に振り込んだ。
大工学生でアルバイトをしている19歳にとって10万円は大金だ。ものすごく大金だ。
かっこいいちょっと高めの洋服だって5着は買えるし、カラオケだったら数えきれないほどいけるだろう。
ある年のお盆休み、いつものように実家に帰った。
自分の部屋でくつろいでいると、父が控えめにドアをノックしてきた。
なんとなく嫌な予感がした。
父の話を聞いてみると、どうやら最近株をやっているとのこと。
しかし、自分で運用しているのではなく、凄腕の人に運用をしてもらっているらしい。
今お金を渡さないと、別の人に運用枠を取られてしまう。
だから今すぐお前の金を貸してほしい。
ないならこれから今すぐ消費者金融に借りに行こう。
今すぐ。
という内容だった。
今考えればかなり胡散臭いが、尊敬している父が困っている。
力になってあげたい。という私の良心が働き、結局消費者金融にお金を借りに行くことに。
車に乗ってしばらく走ると、お前も知っている小林と合流するからという話になった。
小林とは、私の3つくらい年上の先輩で昔から少年野球で一緒だった。
中学、高校に進学するにつれ、会う機会は激減していたがそれでも年に一回くらいは会うような関係だった。
しかし、高校を卒業した小林先輩に良い噂はあまりなく、何やら悪いグループに所属しているというような噂もあった。
小林と合流後しばらく話していると、なぜこの場に小林がいるのかが理解できた。
どうやら小林は、これまでなんども消費者金融からお金を借りたことがあるらしく、大学生でアルバイトの私でもある程度まとまったお金を借りることができるとのこと。
僕はだんだん怖くなってきた。
この人たちは何を考えているのだろう。
僕にいくら借りろというのだ...
そんなことを考えている私の顔には、不安という文字が浮かび上がっていたのだと思う。
父がにこやかに話しかけてきた
「消費者金融でお金を借りるっていうのは、今のお前にとってむちゃくちゃいい経験だからな。今日はラッキーだと思った方がええぞ!」
2000%嘘だと思った。
結局、この日小林先輩の言う通りに消費者金融からお金を借りようとしたが、なぜか5万円しか借りることができず、それだったらいいやとなり、結局キャッシングはしなかった。
自分の子供に消費者金融でお金を借りることを良い経験と胸を張って言える父親は、絶体にバグっていると思う。
お金を集めるためには手段を一切選ばない、どんな嘘をついてでも目的を達成しようとする姿勢や行動力を強烈に尊敬している。
今日はそんな話。
おわり。