人生の議事録

やっていることとか、考えたこととか。

成人の日

今日は成人の日ということで、久しぶりに8年前のことを思い出した。

 

当時は大学2年生。

僕は、高校3年間野球部に所属しており、ガチガチの縦社会から解放された反動で、大学生活を謳歌していた。

 

謳歌していたといっても、毎日カラオケやボーリング、ゲームといった特になんの生産性もないことに時間を使っているだけのヒマな大学生だった。

 

成人式前日、僕は大阪から地元に帰るために電車に乗った。

地元に近づくにつれ、雪がちらつきだし、携帯でみた天気予報では成人式当日も雪マークが付いていた。

 

あと、二駅くらいで着くだろうか。

とそんなことを考えながら、顔を上げると見覚えのある人物と目が合った。

同じ中学の木下君だった。

 

彼とは高校から別々の道に進んだので、中学のころまでの記憶しかない。

中学のころの記憶しかないと言ったが、一緒に遊んだこともなく、彼はどちらかというと、休み時間も教室で本を読みながら静かに過ごすタイプだった。

 

お互い「おー!やっぱそうやんな!」というような感じで、今どこで何をやっているのかなど、ぎこちない会話だったがそれなりに盛り上がった。

 

僕はてっきり、彼も明日の成人式に控え地元に帰って来たのだろうと思い、

 

「明日の成人式楽しみやな!来るやろ?」

 

と言った。

 

すると彼は、

 

「いや、行かないよ。」

 

とぼそっと言った。

 

そんな彼に僕は、更にたたみかけてしまった。

「嘘やん!○○から連絡来てない?あいつ幹事やからみんなに連絡してたで!」

 

「うん。来てない...」

木下君は更に小さな声でそういった。

 

そのタイミングで、電車は僕が下車する予定の駅に着き、なんともいえない感情のまま彼と別れを告げた。

 

盛大で誰もが楽しみであろうイベントの陰で、彼みたいな存在がいることを知った。

 

成人式でバカみたいに騒いで、お酒を飲んだ記憶よりも、木下君の寂しそうな顔を思い出した。

 

そんな成人の日。

 

おわり。